CQをだす
CQを出す楽しみ
アマチュア無線家は大きく二つに分かれると思います
ひとつはCQを出す側が好きな人、もうひとつは応答するのが好きな人です。
もちろん両方でアクティブな方もたくさんおられます。
JH1DOMの場合は圧倒的にCQを出す側で運用しています。
CQを出す側の楽しみは、知らない方と接点を持つことができることです。
もちろん応答する側でも同じことはある程度いえますが、CQを出すときには交信相手を選ぶことはできません。あらかじめ予定されていたと人ではない方との出会いが実りをもたらすのが、アマチュア無線が趣味の王様と言われる所以です。
少し勇気が必要だとは思いますが、無線の世界に悪い人はいません。話し終えて「良かった」と思える経験が続くこと。それがCQを出す楽しみです。
CQを出す準備・・・ワッチする
CQを出すと決めたら、対象のバンドをワッチします。
電波を出そうとする周波数が使われていないかを確認します。しばらく交信がないか、近くの周波数での交信に混信を与えないかを確認します。
JH1DOMの場合は、対象の周波数を清聴するとともにバンドスコープを走らせて周辺の周波数の状況を確認します。
もちろん、対象となる周波数が使われている(交信が片側であっても聞こえる状態)ときは、電波は発射できません。別の周波数を探します。
バンドスコープで周辺で交信がされているケースでは、どれくらい離れるべきでしょうか。現在のリグの分解能から言って、CWであれば500Hz、SSBは5KHz離れれば十分と思います。実際、CWは周波数で小数点以下が.00か.50でまず交信がされています。SSBは下が5または0で更新されるのが普通だと思いますし、JH1DOMもそうしています。
ただ、例外は7MHzと極端に込み合った場合(たとえばコンテスト)です。そもそもの占有周波数幅の考えから言って、CWであれば頑張れば250Hz刻みで並べば交信はできる(良いリグであればフィルタで切れる)と思います。SSBは3KHz離れれば問題ないと思います。実際7MHzのSSBは5KHz刻みは意識されておらず、思い思いのところで電波が発射されています。このため、どうしても混信が起きがちですが、混雑しているバンドでは仕方がない部分はあると思います。前後の利用されている周波数から3KHz離せばマナーには合致していると考えます。
周波数の使われ方
上記のように、CQを出すときは周波数が使われていないか聞かなければなりません。
ただ、何も聞こえていないようでも、思わぬ使われ方をしていることがあると思います。聞こえていないこと=周波数がい空いている、わけではない可能性は否定できません。一番具体的な例は、微弱な電波が実は入感していて、単に自局には聞こえないだけの場合です。言葉は適切ではありませんが、アマチュア無線の世界では「耳が悪い」というような形容詞が使われます。ただ、最近はバンド内のモニタリングが非常に発達し、Reverse
Beacon Network(RBN)などを見れば地球上で発射されているすべての周波数が網羅されているような情報をリアルタイムで入手できるようになっています。JH1DOMも必要であればここを確認しながら周波数の発射場所を探すことにしています。
その他、一見空いている周波数が実は使われている例はありえます。それが何か、なぜかは具体例を挙げては言えませんが、ありえると考えるべきと思います。
電波は、個人の興味に沿ってさまざまに使われるべきで、それがアマチュア無線のそもそもの役割でもあります。自分の知っている範囲は常に全体の一部だろうと思います。
したがって、その周波数が使われているとわかったら、原則は先に使っていた人が優先ですからその周波数は使えません。
電波発射前に声をかける
いよいよ電波を出すとなった場合は、その周波数が使われていないか、最終声掛けをしましょう。
「この周波数、お使いでしょうか」(電話)
「QRL? QRL?」(電信、RTTY)
「使っている」、と返事があった場合は、速やかに(返答する必要はさらなる混信になるため不要と思います)その周波数の利用を停止します。次の空き周波数を探しましょう。
まれではありますが、CQを出しているところにCQや上記のような問い合わせががかぶせて発射されるケースがあります。その際は、その時点で受信に回っている側が「使っている」「QRL」の意思表示をすべきかと思います(送信側は通常送信の際には受信性能はオフ状態のため)。
電波は誰かのものではないので譲り合うことが基本だと思います。
自分がCQを出し、かつ何局とも交信をしていたのにもかかわらず、いきなり同じ周波数でCQが聞こえだした、というケースはそれなりの頻度であります。電波伝番の状況では起こりえることなので、JH1DOMの場合は、そのような状況では自局の電波発射は中止することにしています。交信をしているうちにコンディションが変化して混信するようになるケースもあります。やはりJH1DOMは自局の側で電波発射を中止することとしています。
気持ちよく電波が使えるマナー、決まっているわけではありませんが、心がけたいと思います。
CQの出し方
当局の場合はおおむね次のように呼びかけています。
電話: 「CQ CQ CQ CQ xxメーター。こちらは『ジュリエット・ホテル・ワン・デルタ・オスカー・マイク』『ジュリエット・ホテル・ワン・デルタ・オスカー・マイク』『JH1DOM』、東京都練馬区です。入感局いらっしゃいましたら、応答願います。受信します」
電信: 「CQ CQ DE JH1DOM JH1DOM JCC 100120 PSE K」
電話のxxのところは、慣例に従って、電波を発射しているバンドをコールします。144MHzまではメーターで、430MHzは一般的に「CQ 430」と呼びかけられています。
グローバルにもバンドは周波数ではなく波長で呼ぶのが一般的のようです。430MHzもeQSLやLoTWでは70cmバンドとされています。ただ、私の聞く限り430を70cmといっている例はほとんどないと思います。
発信場所を告げるのはアンテナの調整を期待するためや、発射場所自体を応答側が情報として重要と考えているケースがあるためです。
CQのコールをかけたら、しばらく応答を待ちます。次にCQを呼びかけるまでの時間は当局は7秒をめどにしています。
受信に入って応答がない場合に、すぐ次のCQに移ると、声をかけようとしている側でタイミングを失する可能性が高いと思います。CQに応答する側も、若干躊躇するケースがありますので、少し間をあけるのが良いと思います。
しばらく待って応答がない場合は今一度CQのコールを繰り返します。
いつもCQを出してばかりなので偉そうなことは全く言えませんが、この短いコールを聞いて応答してもらうためには、やはりある程度工夫や努力が必要でないかなと思います。例えば女性や、例えば非常に若い方は、声自体が価値を持つと思いますので、おそらく応答が期待できると思います。ところが、無線家の平均的な姿である中高年男性のCQに関して言えば、やはり声をかけやすい呼び出し方が大事かなと思います。当局の工夫は秘密ではありますが、ぜひ、ワッチしてお声がけいただければと思っています。
なおCWに関しては、やや事情が異なるため、コメントしておきます。
まずCQを出す側のスピードについてです。JH1DOMは、しばらく前までは20WPM、現在は21WPMでCQを出しています。アマチュア無線におけるCWの交信は平均的に言ってこのスピードではないかと思います。私は、このスピードを超えてCQを出すと、早すぎて応答を躊躇されるケースがぐっと増えると思います。
CWの速度は「目指すべき速度」があると思います。それは、100PARIS=20WPMだと思います。それに満たない時はそこを目指して頑張るべきと思いますが、そこまで到達すればそれ以上はいいのではないかとJH1DOMは思っています。
くわえて、別のところで記述していますが、JH1DOMは呼びかけられた速度が遅い場合も、送信速度は特に変更していません。ただし、文字と文字の単語と単語の間隔を十分に広げるようにしています。これはJH1DOMの過去の経験によるものです。ある意味100PARISを目指す切磋琢磨もアマチュア無線の魅力と思っています。
応答がある
CQのコールをしてスタンバイします。CQ出した以上一発で返事があるかもしれませんし、何度呼んでも応答がないかもしれません。遠い外国から応答があるかもしれません。呼ばれたらコールサインを取るのが次の仕事です。
何の理由もなく突然パイルになる可能性はありません。通常は呼びかけてもすぐ応答はありません(430のメインで呼び出しをしたような場合は除く)。
ただ、すぐ応答があるケースもあります。呼び始めたら、コールサインを取る準備が必要です。
JH1DOMは、ハムログユーザーです。したがって、ハムログを立ち上げて、新しいログ入力のウインドウを開き、相手局名のところへカーソルを合わせて、パソコンのキーボードから入力できる状態でスタンバイします。音はヘッドホンで聞きます。PHONEでもCWでも、相手局のコールを聞いたらキーボードで入力していきます。このためにはブラインドタッチができることが条件かと思います。
聞き取れないとき、聞き落としたときは、「今一度コールサインを送ってください」「QRZ?」と折り返します。
微弱な電波でなければ、ぜひともコールサインは一発でとりたいものです。これはさすがに訓練しかないかと思います。フォネティックコードも人によって言い方が少しずつ異なるので、若干迷ったり、縦ブレ電鍵の場合は信号にアクセントがあったりするケースではむつかしいことがあるかもしれませんが、一発で取れるように頑張りましょう。もちろんとれなかったら仕方ありませんので聞きなおします。
微弱な電波の場合は取れないことになります。その場合は「今一度コールサインを送ってください」「QRZ?」と問い返します。あるいは取れた部分だけはいったん返して残りを送ってもらうように言います。「JH1局、サフィックスが取れませんでした。今一度コールサインを送ってください」「DOM局、今一度コールサインを送ってください。」「JH1??」「AGN
AGN」などと返信します。
取りにくい電波が来たときはCQ出す側の勝負所でたのしみなところです。
聞き取れない理由は二つです。
一つは信号そのものが弱いときです。
対応はプリアンプを入れる、可能であればアンテナを切り替えてみる、といったのが本質的なものかとは思います。SSBの場合はノイズリダクションを切るなども有効な方法です。フォネティックコードの一部は信号が弱い時に聞きづらいものがあります。再度送ってもらうことをお願いするのですが、言い換えられると(例えばD=デルタをデンマーク)かえってCQ出す側が混乱してわかりにくくなる場合があります。ですので、CQ出す側としては同じように繰り返してもらうほうが実際は良いと思います。あとSSBの場合は周波数が微妙に違うと急速に聞き取りにくくなることがあります。そのときは、RITを素早く回して調整します。SSBでCQを出すときはRITをスタンバイ状態にしておくのは必須です。左右に回して周波数を正確に合わせます。
二つ目はフェージングです。信号強度が強まった瞬間があれば取れます。何度かコールサインをおくり直してもらいましょう。
この意味合いから言って、応答側が送り返すときに電信の速度を変えるとフェージングの速度との関係で帰って取りにくくなることがあります。JH1DOMは応答者には同じ速度で、回数を繰り返してもらいたいと思っています。
コールサインの交換は出し手受け手の共同作業です。なかなか取れずに苦しい時はありますが、それでも頑張って取るのがある意味無線の醍醐味かなと思います。
それでもわからないときはわかりません。
残念ですが、いつまでも続けていくわけにはいかないと思います。JH1DOMは取れない旨を伝えて次回を期してもらっています。
「大変申し訳ありませんが信号が取れません。次回コンディションが良い時におねがいできますか」「SRI SRI」などが返答方法となります。
途中で呼びかけ側が下りられるケースもあります。「申し訳ありません」「SRI」などと返します。
信号がつながらないことがあるのが、アマチュア無線の本質であるため、交信が成立しないのは自然なことと思います。次の待機局とお話を始めるので全く問題ないと思っています。
弱い信号であれば会えた応答せずにCQを続けるのも方法です。
RSTレポートのRは了解度ですが、はっきりとコールが聞き取れるのであれば「5」ですが、JH1DOMははっきりとは聞こえないケースでは「4」としています。439、43
場合によっては459などもレポートとして送っています。もっと聞きにくいケースは「3」を送ります。339、319などのレポートを送付します。Rが4では詳細な情報は交換しにくいのが普通です。話しかけていただいても十分には聞こえていないので、応答側もその点をご配慮いただけると助かるなと思うことがあります。JH1DOMは了解度「4」を送るときはオペレーター名などの追加情報は基本的に送付せず、シグナルレポートの交換で終了させることとしています。
なお、ここを書いていて思い出しましたが、コールサインを取るときは「5」でも話しているうちに「4」や「3」に下がるケースがSSB交信では少なくなくあります。たぶんマイクからの距離が離れてきて入力が弱くなるからかなと思っています。違うかもしれません。コンプレッサーを入れていただけるとよいのかなと思っています。JH1DOMはIC7000M、IC7610とも軽くコンプレッサーをオンしてあります。
話がやや横にそれましたが、「3」と判断される信号を取るかどうかは、判断だと思います。取れないとわかっている微弱な信号をあえてとるかは、CQを出す側で決めればよいと思います。できるだけ頑張るその最下限をどうするかはCQ出す側の問題で、どう決めてもその決定でよいと思います。取れないなら無視してCQを続けることに悪いことはないと思います。取ろうという気持ちがあればよいのかなと思います。
コールサインのやり取りが一段落した後でも、まだコールサインを間違っているケースや自信がないケースは少なからずあると思います。
特に海外局などはコールサインの体系が違うのでわかりにくいと思います。確認の方法は、交信のやり取りの中で改めて交換するコールサインを聞いていくことになります。あるいは、なんとなく邪道ですが、素早くインターネットを検索するなどの方法もあります。それでも自信がない時は、ハムログのリマークスに「自信なし」と書いておきましょう。過去の例ですが、交信終了時点で「自信なし」とした交信の9割以上は間違っていませんでした。
QRPの局が呼んで来ることがあります。
電信であれば「/QRP」とついてくるので一回で聞き取れなくともわかります。最初から微弱な電波ではありますが、それがつながるかどうかを挑戦しているわけですから頑張って取りましょう。
CQを出していると突然応答がわっと重なることがあります。パイルと言われる現象です。
珍局や有名局であれば当然にそうなりますが、一般の局でパイルになるのはおそらくクラスタに乗ったときだと思われます。
パイルになったときは交信を短く切り上げるのが良いのかと思います。電信であれば599BKで良いかと思います。せっかく呼んでいただいているのであればできるだけたくさんの方との交信の機会を大事にしたいとJH1DOMは考えます。
交信を終了させる
アマチュア無線の暗黙の決まりは、どちらの側からもいつでもファイナルを出せるということです。
先方がファイナルを送ってきたら、交信を終了させます。また、自分がこれで交信を終わらせたいと思った場合はファイナルを送ります。
JH1DOMはある程度の会話はさせてもらいたいと思う一方で、できるだけたくさんの方とお話ししたいと思っていますので、CWはおおむねシグナルレポートとQTH、OP名の交換と簡単なラバースタンプのあいさつ文の交換としています。PHONEはファーストQSOの方とは装備の紹介、運用スタイルの紹介のほか、簡単に近況などをお話しさせてもらい、二回目以降の方とは前回以来の運用成果などを簡単にお話しさせてもらい、全体として10分程度を上限と思っています。中にはPHONEでもシグナルレポートの交換だけを希望される(と感じられる)ケースがありますのでその際は、ごく簡単に切り上げています。
そろそろ終わろうと思う時は「次回あたり、ファイナルを送らせていただきます」と告げて、お知らせをするようにしています。
「ファイナル」というのは何かというのはこれもまた決まりはないように思いますが、JH1DOMは相互の局が自局のQTH/OP名を確認しあって交信を終了させることを確認することと理解しています。具体的には「JA1ABC千代田区XXさん、こちらはJH1DOM練馬区XXでした。どうもありがとうございました。次回もよろしくお願いします。73」と告げることだと思っており、そのようにしています。
運用を終了する
楽しいQSOにも終わりにすべき時間が来ると思います。外出の予定、食事の時間などプライベートな用事の合間に運用をしているハムとしてはこういった家庭の予定も運用の制限と当然になります。
ファイナルがそうであるように、運用を打ち切るのはCQ出す側にあると思いますので、待機局があるとわかっている状態でもQRTは問題ないと思います。
趣味の世界でもあり、様々な立場の人がいることを前提とするアマチュア無線ではそれで良いと考えます。
JH1DOMは一応QRZと聞いてみて、待機局がないことを確認するようにはしていますが、必ずしも必要でないと思っています。
また次回もCQを出したいくらいで終わるのが良いのかなと考えます。
(2018年2月25日)